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2020.07.16

オフショア開発でベトナムを選んだ理由とは。ティール組織で課題解決を続けるエンジニアチームの裏側にも迫る

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マーケットエンタープライズグループ(以下、MEグループ)では2020年5月5日、東南アジア最大のIT国家を目指し、IT教育を推進しているベトナムにて、オフショア開発拠点としてMarketEnterprise Vietnam Co,Ltd(以下、MEベトナム)を設立。

これまでもリユース事業含め、様々なWebサービスを完全内製で開発を行ってきたが、グループ全体の事業成長スピードを加速させるべく、MEベトナムは独立した開発組織としての機能を展開していく。

「ベトナムのエンジニアの誰もが入りたいと思う会社にしたい」と語るのは、MEベトナムの責任者を務めるMEグループCTOの丸尾。そこで今回は丸尾に、なぜベトナムを拠点として選んだのか、またMEベトナムをどういった組織にしていくのか、話を伺った。

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「プロダクト開発に目覚めたエンジニアが増えている」ベトナムをオフショア開発の拠点に選んだ理由

―― MEグループが海外にオフショア開発拠点を設立した経緯を教えていただけますか?

MEグループはリユース事業、メディア事業、モバイル通信事業など様々な事業を展開しており、M&Aであったり新規プロジェクトを推進していくうえではどうしてもシステムの開発が必要になってきます。そんな中、我々の事業成長スピードに対して開発リソースが逼迫するという状況が続いていました。

そして、昨今は多くの企業がエンジニア不足という課題を抱えている背景もあり、エンジニアにとって魅力的な組織でなければ採用は難しいです。そのため、これまでは本社の一部署としてエンジニア組織の最適化を行ってきましたが、よりエンジニア組織としてのカルチャーをつくり、最適化していくためには、独立した会社組織を持つことが重要であると考えていました。

また代表の小林とはエンジニア不足についての話は以前からしていて、その中でオフショア開発の話題は何度も上がっていたのですが、私はオフショア開発を拒んできた側だったんです。

というのもMEグループはIT×リアルという側面を持っていますから、物流センターのシステム、例えば商品の出品管理などの基幹システムの開発も行っています。オペレーションの生産性を高めるシステムを開発しているのに、物流センターに行ったことのない人がどうやって「生産性を高める視点」を持てるのか、と疑問を抱いていました。

そんな中、まずは一度、現地視察をしてみようと。そしてベトナムのハノイやホーチミンの企業をいくつか訪問させていただいたのですが、いざ見てみると「これは意外にうまくいくのでは」と感じたんですね。

オフショア開発で失敗している企業というのは、文化の違いなどが大きな要因かと思いきや、実は単純に組織づくりに失敗しているケースがほとんど。日本国内の開発チームをつくる意識でしっかりと組織づくりに取り組めば、MEグループの事業に大きく貢献する開発拠点になるなと感じました。それからは月に一度、現地訪問して調査を進めていき、今年5月にベトナムに開発拠点を設立するに至りました。

―― 海外の中でも、ベトナムを選んだ理由はなにかありますか?

ベトナムは日本との関係も良く、6時間しか離れていないという地理的要因、さらに平均年齢が30歳未満で、世界でも優秀な理系人材が豊富にいること。またIT企業に対する税制の優遇であったり、100%日本資本の会社でも法人設立ができるなど、インフラ、文化面、治安など含め、条件が整っていたことからベトナムを選びました。

そして、いまベトナムのエンジニアにとっては転換期が訪れていると思っていて。これまでは人件費などのコスト削減を理由に、多くの日本企業もベトナムでオフショア拠点をつくってきていましたが、徐々にベトナム国内のエンジニアの給与も上がってきています。そのため、コスト面でベトナムからの撤退を決めている企業もいるほど。

またアジア全体でいえることですが、スタートアップへのベンチャー投資も進んできていて、請負で開発してきたエンジニアたちも「自分たちのプロダクトをつくりたい」と思うようになってきているんですね。
我々がつくろうとしていたのは、自社開発をしていくための組織。そのため、プロダクトに目覚めたエンジニアが増えてきているベトナムは、我々が採用したいターゲットにマッチした人材が集まっているなと。

そして2019年9月、ある企業の開発フロアの一角をお借りして、まずはラボ型開発チームの形式で3〜4名のエンジニアとスタート。そして2020年5月に現地法人を設立し、本格稼働が始まりました。

上司やマネージャーは存在しない。意思決定はすべてチームに委ねる「ティール組織」を採用

―― オフショア開発を成功させる上では組織づくりが大切であるとのことですが、丸尾さんが具体的に組織づくりで意識して取り組んでいることはなんでしょうか?

開発チームというのは直接的に売上をつくる集団ではないため、何かKPIを追いかけて達成感を感じる、といった組織ではありません。しかし、プロダクトに対して皆が責任を感じられる組織形態にしたいと思っていました。

また私自身、CTOとして開発組織を長年見てきた中で、マネージャーが存在する組織の場合、アジャイルでの開発がうまくいかないケースが多いように感じていて。というのも、アジャイル開発では実験的思考を持ち、仮説検証、実行を繰り返していくことが求められるわけですが、そのサイクルの中で毎回マネージャーがジャッジしたり、マネージャーに意見を求めて進めていくというのは、交渉コストがかかってしまいます。

サイクルをどれだけ回せるかがチームの生産性になるアジャイル開発では、マネージャーがいない組織形態が理想だなと。そこで組織形態を模索した結果、上司やマネージャーがいないフラットな組織、すなわち「ティール組織」と呼ばれる形態を採用しました。

ティール組織では、様々な決定権、権限を各チームに移譲していきます。1プロジェクト1チームであれば、そのプロジェクトの意思決定はすべてそのチームに委ねることになります。
そのため、我々の場合は日本の事業部側とベトナムの開発側でコミュニケーションをとるわけですが、開発の意思決定はベトナム側のチームが行っています。

そうすることで、エンジニアがプレッシャーを感じることなくA/Bテストを繰り返していったり、実験していけるため、アジャイル開発のフレームにマッチするんですね。現在はエンジニア17名の体制ですが、期待以上の組織へと成長しているなと感じています。

 
―― そういった意思決定をチームに委ねるティール組織をつくっていくことに対して、責任者としての不安はなかったのでしょうか?

メンバー、そしてチームを信頼するしかないなと。管理しようとすると、私の能力で組織の上限が決まってしまう、それが一番良くないことだと思っています。
そのため、私以外のメンバーはみな現地採用なのですが、面接時に信頼できるかどうかをしっかりと見極め、採用した以上は一緒に成長していく、というスタンスでやっています。

一方で、MEベトナムではグループの理念に「課題解決」という言葉を追加しており、メンバーが課題解決思考を持って取り組めるよう、毎日研修を行っています。
「魚を与えるな、魚の釣り方を教えよ」ということわざがありますが、答えは言わず、戦術や大枠の考え方についてのフレームワークを徹底して教えるからこそ、信頼して権限移譲できるなと思っています。

エンジニアのSangさんが書いたMEベトナムの理念

MEベトナムの企業理念(日本語訳)
「Win-Winのビジネスを通じてユーザーの課題解決を行う主体者集団であり続ける」

 
―― 現地での採用はどのように進めていったのでしょうか?

メンバーのFacebookの繋がりから採用することもあれば、MarketEnterprise Vietnamのコーポレートサイトを見て応募してくださる方もいます。

特にサイトでの情報発信は大事にしており、コーポレートサイトではブログを展開し、我々がどういった会社なのか、どういったカルチャーでどういった考え方をしているのかを打ち出すようにしています。そうすることで、ある意味ひとつのハードルを設けられるため、我々の考え方に共感してくれる人が応募してくれるだろうと。そして現在は週に数件、コーポレートサイトからの応募が来る状態になっています。

技術でユーザー課題をどう解決していくか。グループ全体の事業成長を加速させるチームをつくっていく

―― グループ全体において、今後MEベトナムはどういったポジションを目指していますか?

現在、MEグループはグループ全体で事業の多角化を進めている真っ最中です。そのときに開発がボトルネックになってしまってはいけない。むしろMEベトナムが各事業の成長スピードを加速させていく存在にならないといけません。

そのため、グループ全体の中では “開発リソース” として位置づけられていますが、単なる請負での開発を行う組織ではなく、付加価値を出していける開発組織を目指しています。請負の形に収まるのであれば、外部の開発会社に委託すればいいわけですが、 “自社開発” をするということは、開発チームが事業を理解し、中長期的に事業へコミットした開発を行うということ。

また、MEグループはマーケティングがひとつの強みとしてありますが、たとえば今後プラットフォーム型のサービスを増やしていくとなったときに、マーケティングだけでなく、プロダクト思考を持ってユーザー課題を解決していくことがより重要となってきます。

そのときにユーザー課題を解決できるチームがベトナムにいる、というのがMEベトナムが目指していることです。だからこそ、MEベトナムは「課題解決」を理念に追加し、ユーザーの課題を技術を使ってどう解決していくか、という本質的なことを大事にしています。

―― 最後に、今後の展望を教えて下さい。

MEベトナムという会社に関しては、ベトナムで一番入りたい、ベトナムのエンジニアであれば誰もが入りたいと思うような憧れの会社にしたいと思っています。それはつまり、今いるメンバーが誇りを持って働ける会社にすることと表裏一体。

だからこそ、ITというと無機質になりがちな仕事ではありますが、人間味溢れるコミュニケーションがある組織づくりをしたいと思いますし、最近ではメンバーが自発的に勉強会を開催するケースが出てきたりと、組織づくりの良い結果が少しずつ出てきているのかなと感じています。

勉強会の様子


また新型コロナウィルスの影響で、働き方、オフィスの在り方が変わってきています。テレワークが推奨され、在宅で勤務を行うエンジニアが増えることは避けられません。

長期的な観点で個人的にチャレンジしてみたいと思っていることは、クラウドワーカーをリモートでプロジェクトにアサインできるくらいの基盤を構築していくことです。世界中のエンジニアと繋がり、伸縮可能なリソースとして開発に加わってもらうことができれば、スケーラビリティのある組織となります。オフィスでは50名が働いているけど、リモートワークを含めれば500名が在籍している、といった世界観を夢見ているわけです。

まずは2年後までに50名の組織、8〜9チームの組織を目指していますが、MEグループの事業は今後も増えていき、どんどん成長し続けるという前提で考えれば、開発サイドもそういったスケーラビリティを考えていかないとなと思っています。

MEグループの今期のテーマである「MEX(エムイーエックス)」のポーズをして撮影!
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記事を書いた人

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